亡き猫たちの思い出

 

たろうが、2歳の時、スーパーの駐車場のそばの草むらの中にいるのを見つけたのが、みーこともこでした。


拾った当時は、2匹が、私の片手の掌の上に余裕で乗って、収まってしまうくらい本当に小さくて、時々、2匹が、私の掌の上に載っていたその時のことを思い出します。


みーこともこのほかに、もう1匹、オスの兄弟がいたのです。


そばに、誰かが置いたと思われる唐揚げが転がっていたので、たぶん、捨てられてから、しばらくの間、そんな風に、通りすがりの誰かにエサをもらって、生きていたのだと思います。


これは、何とかしなきゃと思って、まず、男の子を拾って、とりあえず、車の中の大きめのバッグに入れて、その後、ほかの2匹を拾いに行っている間に、2人の男に、車の中の財布を取られてしまって、男の子も、どこかに逃げてしまい、女の子2匹だけを保護して、帰ってきました。


私が、茂みをのぞき込んでいるところに、男2人がやってきて、よく覚えていないけど、何か話しかけられて、猫がいるんですとか答えて、猫に気を取られているすきに、車の中から盗まれてしまって、結局、財布は、中の現金5万円を抜き取られて、数日後、別な場所のスーパーの駐車場に捨てられてもどってきました。


逃げた男の子を探そうにも、もう暗くて無理で、翌日、探しに行ったのですが、もうどこかへ行ってしまったようで、見つけることができませんでした。


でも、その時に出会えたみーこは10年、もこは20年、一緒に暮らすことができました。


2匹とも、体中、のみだらけで、病院でもらった子猫用のノミ駆除スプレーを体中にスプレーしたら、あっという間にノミを駆除できました。


もこは、キジトラで、みーこは、三毛なのですが、どうもスコティッシュの血が入っているらしくて、みーこは、かわいらしいたれ耳でした。


もこは好奇心旺盛、みーこは臆病、でも、みーこは、たろうとすごく相性が良くて、いつもたろうと丸くなって、くっついて寝ていました。


みーこは、外に行っても、田舎の茂みなのかをどうやって、歩いてくるのか、汚れないで、帰ってくるのです。


もこはというと、外に出かけると、体中、泥だらけになり、その上、ばかをいっぱいつけて帰ってくるのですが、みーこは、どこを歩いてくるのか、ほんとに、出かけてきたのというくらい綺麗なままの状態で帰ってくるのです。


みーこが亡くなってから知ったのですが、スコティッシュは、遺伝的に奇形というか、そのために、体に痛みを感じるらしいのです。


食も細かったし、いつも静かだったのは、そのせいだったようです。


猫を飼って、たくさんの幸せな思い出とともに、その時は、わからなくて、後悔していることもたくさんあります。


みーこの体のこと、たろうの尿道結石のこと、知らなくて、何もできなかった。


もこも、下痢便が続いていた初めのころに、病院に連れて行っていたら・・・。


最後のもこが亡くなって、部屋から、掃除のたびに、猫の毛が消えていきます。


何か月か過ぎて、猫の毛が1本、ひょっこり、出てきます。


懐かしくて、うれしくて、この毛を取っておこうか、一瞬、考えるのですが、捨てます。


思い出は、胸の中に、全部、詰めっているから、いつまでも忘れないから、大丈夫と思って、捨てます。


またいつかどこかで再会したら、どんなに姿かたちが変わっていても、すぐに、あら、たろうくんだ、もーちゃんだと、見分けられるから大丈夫と思って、捨てます。


大好きだったこと、幸せだった記憶は、生まれ変わっても、魂が忘れずに覚えてくれています。


亡くなって、別れても、終わりではないんです。


一緒にまた暮らせる日がくるかもしれないし、思いがけなく、あの子たちが生まれ変わって、誰かと幸せに暮らしているのを知って、懐かしく良かったなと思う日が来るかもしれないし、どっちにしても、良いことしか起こらないから大丈夫なんです。


大好きなあの子たちだから、大丈夫。


そう信じて生きています。


あの子たちのおかげで、本当に幸せでした。


本当に、本当に、ありがとう。