クロちゃんのこと

たろうくんを拾って、それから、生活が激変しました。


まだ、目が開いたばかりで、一人で、ミルクも飲めないし、排せつもできないし。


最初は、猫用の粉ミルクを使っていたのですが、なかなか溶けないし、夏場は、すぐに腐るで、気がつくと、下痢させてしまったりで、毎日、大変でした。


猫用の缶入りミルクの存在を知ってからは、本当に、ミルクの用意が楽になって、腐ったミルクを飲ませてしまうこともなくなりました。


子猫なので、夜中も起きては、数時間おきに、ミルクを飲ませ、排せつの手助けをして、2回くらい、死にかけて、もうだめかもしれないという危機的な状況になりながらも、何とか、大きくなりました。


たろうが6か月ぐらいの時に、出会ったのが、クロちゃんです。


もらってくださいの張り紙を見て、気になって、迷いながらも、見るだけということで、合う約束をしました。


待ち合わせの場所に、段ボール箱を抱えた中学生くらいの男の子が現れて、お願いしますと、段ボール箱を私に渡したかと思うと、そのまま、ダ~っと、走り去っていきました。


一度、見るだけという前提だったので、唖然としてしまいましたが、連れて帰るしかない状況です。


段ボールに入っていたのは、真っ黒の小さな女の子でした。


栄養失調で、毛並みは艶もなくぼさぼさ、下痢をしていて、体調もあまりよくないようでした。


うちに来て、一緒に遊ぶ仲間ができて、ちゃんとしたごはんが食べられるようになると、見る見るうちに、健康になり、綺麗な艶々の毛並みの美しい猫ちゃんに成長していきました。

 

それで、私、その時、二人が、このまま、ずっと、元気で、天寿を全うするまで、いてくれたらいいなと願ったのですが、ちょっと胸騒ぎがするのです。


たろうは、大丈夫なのです。


問題ないのです。


ただ、どういうわけか、この子は、何か、引っかかるのです。


何かあるとしたら、この子かな・・・。


そんな気がしてなりません。


残念なことに、予感は、的中してしまいました。


2歳ぐらいの時に、家を出て、帰れなくなってしまったのです。


動物と話せますという占い師の先生を探して、あの子に、帰ってくるように、伝えてもらって、一度は、帰るという返事をもらえて、つい、安心してしまっていたのですが、結局、迷ってしまって、自力で、帰ってくることができなくなってしまったようです。


あの子を失った悲しみと、守ってあげられなかった後悔と同時に、これが運命だったのかなとも感じました。


もし、あの子が、生まれ変わったら、今度こそ、長生きして、誰かに可愛がられて、幸せな猫生をまっとうしてほしいと心から、願っています。